宇宙よりも遠い場所(よりもい) 12話感想(ネタバレ)

宇宙よりも遠い場所の12話を見て、感想をつらつらと書く。

見た直後の強力なインパクトが醒めないうちに書きたいので、勢い任せかもしれない。けど今書かないと!

なんでかって、早く自分の言葉で感想を表さないと、他人の感想がないまぜになって、本当に自分が思っていたことがわからなくなるから。

今考えてみれば、各話見た直後にコツコツ書いといた方がよかったかな?とも思ったりするのだけれど、逆にまとめて見て書いた方が話の流れが頭に入った状態でかけるかも?とも思ったり。どっちつかず。

また、感想を書きながら思ったのだけど、小説版のよりもいが欲しい。すぐ好きなシーンとか見返して整理できそう。色んなセリフが名シーンだし注釈書き込みながら読みたい。

 今朝起き抜けに見て、一回目はところどころ報瀬の感情が掴みきれずにひっかかってたのだけど、ラストシーンがもう本当に感動した。恥ずかしながら嗚咽が出て、ヒックヒック泣いてしまって、メールがどんどん増えていく場面が泣いてるせいで見れなくなってしまった。そのくらい感動した。

話が少し脱線するけれども、その前の週末にヴァイオレット・エヴァーガーデン(10話「愛する人はずっと見守っている」)でも泣いていたのだけれど、まさか一週間のうちに2回もアニメを見て無くとは思っていなかった。

この記事を書いている今は、3回目の視聴をしている。2回目は各シーンを見直して、それでやっと報瀬の感情についての描写と、それに合わせたキマリたちの動きが理解できたと思う。

今回の話で自分が注目したいのが、①報瀬の感情とそれに伴うキマリたちの動き、②報瀬の母貴子に関する描写、そして③ラストシーン。

報瀬のセリフを抜粋しながら、そこから考えられる報瀬の感情について考えていく。

「普通過ぎる」「写真と一緒だ、くらい」「わかってる」(キマリから「報瀬ちゃんはお母さんが待ってるから来たんだよね」と言われて)

「でも、そこについたら先は無い。終わりなの。もし行って何も変わらなかったら、私はきっと一生今の気持ちのままなんだって。」

上記の4人の会話シーンから、報瀬は南極に来たものの、思い描いていた状態との差に悩んでいるように見える。このセリフを追って咀嚼するのが1回目ではできなかった。

最初はキマリが報瀬に話しかけて、気にかけている状態なのだけど、キマリから過去に南極に来る理由をなんと言っていたか言われても、それと現状は違うってことに葛藤しているのかと思う。けど一方で、キマリにとっては南極に連れてきてくれた報瀬の目的が果たせない、なんてことは納得いかないのだと思う。だからこそ、パソコンを探すシーンに入るのだと思う。

報瀬「どう思いますか?」

吟隊長「なにが?」

報瀬「母さん」

この短いやり取りから、「私にそれを聞くなら行かないほうがいい」と言える程に、隊長は報瀬のことを見てきているんだとわかる。9話を思い出す。

 

「私が来たかったから」という隊長の言葉に一瞬(えっ?)って表情をする報瀬。直後に、「貴子がそうしてほしいと、私が勝手に思い込んでいるから」

吟隊長「思い込みでしか行動できない。けど、思い込みだけが現実の理不尽を突破し、不可能を可能にし、自分を前に進める。私はそう思っている。」

報瀬「人に委ねるなってことですか?」

吟隊長「そう。けど、ずっとそうしてきたんじゃないの?あなたは。」

そう言われて、報瀬はこれまでのバイトで稼いだお金を通して、南極のためにしてきたことを思い出す。「どうしても行きたい。だって、お母さんが待ってる。」そう言ったことを思い出して、南極に来たのではなくて、待っている母親のところへ行こうとしていたのを思い出す。

記事を書きながら考えてみたけど、報瀬の「待っている」というのは、何を考えて言っていたのだろうか。本当に母親が生きて待っている、とはさすがに思っていないとおもう。そこまでお花畑ではないはず。(南極行きの荒い計画からすると若干怪しいけどそれは別と思いたい。。。)ではどう考えていたのだろう?

南極行きの応援幕を見て、報瀬のことを心配するキマリ。報瀬が来た時に安堵の表情を浮かべる隊長とキマリが映るのが良い。

南極大陸らしい景色を見たときの報瀬の表情は、物思いにふける顔と見るか、相変わらず「普通過ぎる」と思っているのか?その後のサンピラー見た際に「お母さんもみてましたか?」と聞く様子から、ずっと母親の見た景色を考えていたのだと思う。写真と一緒、という点で見ていた以前の状態から変わってきているのが、3回目の視聴にしてやっとわかった。

リザードの中、母親の最期について隊長に聞く報瀬。真顔で、それも一番責任感じている隊長によく聞けるな、と思ったりするけど、同時に一番状況を詳しく知っているのは隊長だろうし、更に言えば、これまで報瀬はいなくなった瞬間について具体的に聞いていない(もしくは聞けなかった)こともわかる。話す隊長の表情が曇るのが見える。

これまでに何度か登場した、無線から聞こえた母貴子の最期の言葉。小淵沢天文台で隊長が涙を流すシーンに繋がる。

隊長と母が話す姿を思い描いた直後のキマリとの会話は、何が含まれているのだろう?報瀬に南極が好きか聞かれてキマリは「大好き」と答える。この時何故か報瀬の表情は若干暗かった。考えて見ると、南極が好き、と言った瞬間は報瀬について言及していない。ここまで綺麗な景色や体験ができているのだし、本を見て南極行きを決意したキマリが、南極が好きと言うことに別段特別な意味はない。表情が暗いわけでは無く、これまでの延長線上で暗いだけだとわかった。

キマリ「連れてきてくれてありがとう」

というセリフから、報瀬の表情が明るくなって、母へ宛てる手紙のシーンになる。

メールの中で、友達と景色について書かれている。

報瀬「みんなが一緒だったから、ここまでこれました。」

感謝の言葉は一言もないけれど、にじみ出ているように思える。それが良い。

天文台について思いを馳せて涙を流す隊長に対して、

報瀬「思い出しているんだろうね、お母さんと見たときのこと」

とどこか冷めた表情。報瀬がこれまでに見てきた景色は、確かに母親が見てきた景色だけど、具体的に母親がどうしていたかはわからない。何度も他の隊員から母親の話を聞いているけれども、どうしてもそれは伝聞でしかなくて、実態が無い。それが寂しいと思っているのかもしれない。けど同時に、これまでの報瀬のセリフからは、景色を追うことしかできないという諦めがあるのかもしれない。

ここからキマリの表情アップで始まる、ラストシーンに向けた流れが本当に凄い。

実の母の遺品を諦めている報瀬に対して、逆に他人であるキマリ達が探す。

報瀬「見つかるわけないよ」→キマリ「諦めちゃだめだよ」

報瀬「(もう)いいよ」→日向「よくない」

報瀬「みつからないよ」→結月「なんで言い切れるんです」

報瀬「ここにこれただけで十分。ちゃんと目的は達成したから。お母さんがいる所に来れたから。ありがとう。だからもう」→キマリ「よくない!」

この応酬が本当に泣けるし、この三人と一緒だったからこそパソコンが見つかったんだとわかる。

パソコンのパスワードのところだけ見ると、よくあるシーンかもしれない。けど所々で描写される南極へ行くのに全力を出していた母親の設定していたパスワードが娘の誕生日であることは、根底にあった母娘愛を伝えるワンシーンだし、遺された愛情とも捉えられる。

そして受信されるメール。これを他の人はどう解釈するか、この記事を書いてから見たいと思っている。以下は自分の解釈である。1回目にシーンを見ただけで涙が出たのは、メールの受信が母親の死を描写していると解釈したため。ただ、こうして記事を書いていると、話の流れ的に不自然に思える。2回目に考えたのが、自分の送ったメールが受信される中で、これまで送り続けながらこらえていた感情が爆発したのかと考えた。これは少しぼんやりとしている。そして、記事を書きながらこれまでの話の流れに沿って考えると、自分が今まで送っていたメールが受信されるその状態に、ずっと探していた母親のいる場所を見たのだと思う。このシーンでやっと、他人から聞くのではなく、自分で見つけ出せたのだし、そこにはこれまで自分が母親に宛てたメールがある。自分と母親の思い出がそこにあったのっだと思う。

気づいてみれば3500文字近い文になってしまった。このまま全文載せるか迷ったが、やはり気持ち優先。推敲する間に自分の頭でなくなる気がするので、このまま。